
■重い予算執行の責任
2005年度がスタートしました。しかし今年度も各職場で欠員が生じることになりました。また業務量の増大や新規事業の対応もできていません。
このため、増え続ける時間外勤務にハドメがかからず、職場の労働環境は悪化の一途をたどっています。 言うまでもなく、職員定数は予算化された適正人員配置であり、市民に約束したサービスを実現する為に、行政当局が責任を持って確保しなければならないものです。しかし、新年度のスタート段階で、毎年のように欠員を生じさせるということは、議会や市民に約束した施策の実現を反故にすることを意味します。
■直ちに職員採用を
現実的に欠員職場では、早期補充を前提に市民サービスの面から影響が少ない業務を先送りし、場合によっては臨時職員を緊急避難的に雇用し、なんとか乗り越えてきました。
しかしこの結果、職場の時間外勤務など労働加重が続き、職員の肉体的・精神的負担は増々大きくなっています。
定年退職、早期・普通退職という減員要素に対して、新規事業、業務の見直し、再任用の配置などの増員要素を明確にし、計画的な職員採用が実施されなければなりません。

■定数軽視の総務、行政経営
定数問題は労使交渉が伴ないますが、組合側は毎年一月程度を交渉期限にしています。これは一月が新年度予算案の確定期であると同時に、再任用職場の協議や新規採用手続きの面からもギリギリの日程となるからです。
しかし当局側は、3月に入っても定数削減提案を毎年繰り返しています。これは明らかに、適正配置の定数協議ではなく、欠員を埋め合わせるための削減提案としか言えません。
■「あり方議論」を無視する人員削減
一昨年8月組織変更を実施しましたが、その際の基本的な考え方は、「業務のあり方や政策目的を明確にして基本的な人員配置を整える」というものです。これにより総合政策部、行政経営部などを新設しました。
こうした考え方の背景には、地方分権や市民協働といった公共サービスのあり方そのものが問われる時代を迎え、前例踏襲的な業務と定数の考え方を改革しようというものがありました。
しかし当局側の実態は、「とにかく削減する」に終始し、政策的にも人員体制を増強しなければならない職場(例えば「ごみ減量対策課」など)も放置される結果となっています。
■問題先送りと現状無理解姿勢の是正を
さらに今年度は、不充分な人事管理で異動内示が大幅に遅れるなど、大きな混乱を起こしました。このため職員課も年度末に徹夜状況が続くなど、すべてが悪循環となっています。
人事に関する不信と不満が職場に充満する事態が続いています。
人員削減に終始して業務のあり方に関する本質的な課題を先送りし、職場実態や従事する職員の実情を充分把握しないまま進められている人事に対して、強く是正を求めていかなければなりません。
【欠員職場一覧】
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【現業職】
●清掃事業所●管財課(車両管理事務所)●子育て支援課(保育園調理)●下水道部施設課(北野処理場)
【技術職(土木職)】
●水道部工務課●下水道部総務計画課、施設課、管路建設課●まちなみ整備部開発指導課、区画整理室
道路事業部財産課、計画課(電気職)●下水道部施設課(北野処理場)(化学職)●下水道部施設課(北野処理場)
【栄養士】
●子ども家庭部子育て支援課●学校教育部学校栄養士
【事務職】
●生涯学習スポーツ部文化財課●総務部安全衛生管理課
※職種が違うが暫定的に配置されている職場を除く |

■街造りの中核となった技術職
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▲人口54万人を超える八王子市の街づくりには
課題が山積している |
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八王子市は70年代後半から人口急増が続き、現在五四万人を超える大都市となりました。この間、道路、公園、上・下水道、学校、図書館、公民館、コミュニティー・文化施設など都市施設の建設を進めてきました。
90年代以降は、こうした事業が後年度負担を著しく増加させ、財政危機を招くことが強く懸念されました。しかし、当時の理事者や市幹部にはそうした危機意識が乏しく、施設建設中心の基本計画を変えようとしませんでした。
こうした中で、土木、電気、機械、化学など技術職業務は街造りの中核として量的、質的に拡大しました。
■さらに求められる技術職の役割り
一方、90年8月の組織変更協議を契機に、「新設から維持管理へ」、「公共施設の多目的化と合理的なランニングコスト」、「施設利用の安全とバリヤフリー」…など技術職全般の業務が、ハードからソフトへの質的転換が求められるようになりました。(もちろんこのことは技術職のみならず事務職や福祉・保育、現業職全体にも言えます)
つまり新たな技術職の役割りとあり方が問われることになり、組合側は賃金任用制度労使検討会で問題提起を続けてきました。(第二次賃金任用制度検討会には、道路事業部長、こども家庭部長の選任も求めました。機関紙437号5面参照)
■当局は本質を理解しているのだろうか
しかし当局側は、技術職の果たしてきた実績と実力、現在と将来に向けた役割りなど基本的な検討を先送りし、実質的に現行の技術職業務を否定する形での転換に走りました。(昨年の「都市デザイン…」の募集など)
当局側は技術職のあり方について未整理のまま、場当たり的な判断を下し職員募集をした訳ですが、組合側の問題指摘を受けてこの措置を事実上取り消しました。
このことで、現職の技術職や採用された職員に大きな不信感を生み出しました。
この原因は、技術職の業務について極めて不充分な現状認識と乏しい将来構想にあり、さらに企画、総務、人事などの担当部長が交代しても本質的な問題が(大変な問題だから)引き継がれない役人体質にあります。
しかし引き続き、技術職の役割りとあり方について協議し、有効且つ有益な職域として確立していかなければなりません。
■市民協働に不可欠な現業サービス
少子高齢社会の中で、地域住民の福祉や環境、安全を保ち、コミュニティを育む現業公共サービスは、これまで以上に幅広く、また質的にも高いものが求められています。
戸別収集の清掃職員と住民との対話をつうじて、ごみ減量と分別が定着し、学校給食から食を学ぶことで子どもたちや親は「小育ち・子育て」を体感します。
こうした、具体的なサービスをとおして市民と行政のつながりや協働が生まれます。
■求められる非技能労務職化
その意味で、現業職も旧来の「技能労務職」という固定的な身分に縛られることなく、市民との対話や対面サービスの中心に位置付けられるべきです。(この面でも賃金任用制度労使検討会に環境部長、学校教育部長の選任を求めました)
これまで現業職は研修も少なく、単なる作業員=技能労務職として扱われてきましたが、これ自身が八王子市民にとって大きな損失と言えます。
組合側も現業職員が旧来の「技能労務職」の地位に安住することなく、市民サービスの最先端業務として、その役割りを確立していく考え方です。
しかし、当局側には、現業職場そのものを否定するような気配もあります。その意味でも現業職場の欠員補充と新規採用を実現していかなければなりません。
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(機関紙「はちおうじ」437号/2005.5.11)
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