
■組合側はあくまで反対
55才からの定期(普通)昇給停止が1998年人事院で勧告されて以来、八王子市当局は組合側に強い姿勢で勧告実施を迫ってきました。これに対して組合側は、「定年まで意欲を持って働く意味でも、高齢者(55才から)の定期昇給延伸は反対である。また、新賃金体系に移行する際、50才代後半の昇給間差を縮小してきた。定期昇給を継続しても財政負担は少ない」と主張してきました。
■苦しい交渉状況
しかし人事院勧告を受けて国、東京都をはじめ全国的に55才昇給停止に移行し、三多摩各市も大半が55才または58才からの昇給停止となっていることから、組合側は非常に苦しい状況に追い込まれました。さらに景気低迷が続き、民間労働者の雇用環境の落ち込みが強く、昇給ストップどころか、賃金引下げ、リストラ解雇が横行する事態も交渉に悪影響を与えました。
こうした中で5月24日、第15回市職拡大闘争委員会で「55歳からの昇給停止を58歳」とし、「実施は来年度とする」ことで、合意の判断をせざるをえませんでした。
この事態を受け今後組合側は、65才までの再任用制度の充実を強く求め、不安のないライフプランに向けて取り組みを強めていく考え方です。
組合員の皆さん。これまで私達は、高齢職員の一律昇給停止について、反対の考え方を変えませんでした。しかし、国は勿論、全国の自治体で昇給停止が実施され、同時に民間企業のリストラや賃金削減の動きなどが強く、やむなく妥協せざるを得ないと判断しました。
この問題は右の年表にあるとおり、実は30年以上前から実施されてきました。しかし八王子市職は、「賃金制度の基本は、定年まで意欲を持って働けることであり、額は少なくても定昇はあるべき」とし、99年の賃金任用制度の大きな変更の際にも、当局の昇給停止の考え方を跳ね返してきました。
私はこの考え方を今後も変えるつもりはありません。確かに経済不況が続き、厳しい民間の状況が引き合いに出されるなど、公務員賃金は現在「批判」されやすい状況にあります。しかし行政組織の活力は職員の意欲であり、市民サービスへの気概です。そしてこれに応える為の賃金政策が必要です。
今回の市当局の考え方は、公務員批判への迎合であり、無思想そのものだと思います。
しかし結果として妥協せざるを得ませんでした。残念ではありますが、一方では65歳までの雇用の充実を実現し、引き続き交渉を強めなければならないと考えております。
八王子市職執行委員長 藤岡
一昭 
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高齢職員の昇給延伸、停止の推移
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1970年(昭45) |
人事院、56歳以上の1回目の定期昇給を18ヶ月、2回目を24ヶ月に延伸させる勧告をする。 |
1978年(昭53) |
人事院、56歳以上昇給延伸、58歳以上昇給停止を勧告 |
1985年(昭60) |
60歳定年制の導入 |
1991年(平
3 ) |
八王子市職、退職後の再雇用制度導入 |
1998年(平10) |
人事院、55歳昇給停止を勧告 |
1999年(平11) |
八王子市職、新賃金任用制度合意・実施 |
2002年(平14) |
八王子市職、新再任用制度導入 |
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(機関紙「はちおうじ」397号/2002.6.19)
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