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 事業本部はこれまで組合の福利厚生事業としで取り組んできた自治労共済や労金.指定店契約や物資斡旋、民宿や遊戯施設の割り引きと補助、売店などの事業について、常に安定したサービスが提供できるよう体制を整えるものです。また、事業収益の有効還元や租税納付義務などにも適格、適法に対処するため、公認会計士と協議しながら運営します。
 なお事業本部は、組合の地域活動や地域団体との窓口にもなります。


【2016年度 事業本部役員体制】
役   職
氏  名
職   場
本部長
加藤 信明
市職(執行委員長)
本部長代行
岩田みさを
市職(副執行委員長)
副本部長
小泉 治彦
公共労(執行委員長)
岩見 知佳
臨職組合(執行委員長)
田中 輝昌
退職者会(会長)
事務局長
深澤 和宏
市職(書記次長)
会 計
五十嵐秀光
市職(会計)
事務局次長
前川 健一
市職(執行委員)
伊藤  薫
公共労(執行委員)
池田 佳美
臨職組合(副執行委員長)
菊地 文子
退職者会(事務局長)
事務局員
遠藤 隆史
市職(執行委員)
齊藤 智子
市職(執行委員)
柚井 利信
市職(執行委員)
監  事
米山 澄夫
市職(公園課)
榎本 清徳
退職者会(副会長)


(項目をクリックして下さい)
【2014年】
● カウンセラーからの手紙 (2014年1月)
● 第8回 事業本部総会の開催 『非営利・相互扶助が事業本部の基本』 (2014年1月)
【2013年】
● カウンセラーからの手紙 その4 (2013年10月)
● 組合財政全体の見直しを検討 (2013年6月)
● 事業本部の今後の運営と取り組みについて (2013年3月)
● 2012年を振り返って (2013年1月)
● 第7回 事業本部総会の開催 『非営利・相互扶助が事業本部の基本』 (2013年1月)
【2012年】
● カウンセラーからの手紙 その2 (2012年3月)
● 事業本部の今後の運営・取り組みについて (2012年3月)
● カウンセラーからの手紙 その1 (2012年1月)
● 第6回 事業本部総会の開催 (2012年1月)
● 2012年度事業本部 ワークライフバランスの実現に向けて (2012年1月)
【2011年】
● カウンセラーからの手紙 最終・まとめ (2011年7月)
● カウンセラーからの手紙 その3 (2011年6月)
● カウンセラーからの手紙 その2 (2011年4月)
● カウンセラーからの手紙 その1 (2011年3月)
● 第5回事業本部総会の開催 (2011年1月)
● 新春座談会 特集『第11回文化祭に向けて』 (2011年1月)
【2010年】
● カウンセラーからの手紙 カウンセリングのききめとおすすめ (2010年1月)
● ワークライフバランスの実現に向けて (2010年1月)
● 2009年を振り返って (2010年1月)
【2009年】
● てい談「共助の地域社会を考える」 (2009年8月)
● 事業本部の取り組みについて検討 (2009年8月)
● 2009年八王子市職員等事業本部の活動 (2009年2月)
【2008年】
● 2008年を振り返って (2008年12月)
● 第3回事業本部総会開催 (2008年12月)
● 「こころの相談室」カウンセリングのご案内 (2008年9月)
● てい談 八王子の歴史、文化再発見 (2008年3月)
【2007年】
● 事業本部の目的と活動 〜第2回総会に向けて (2007年9月)
● カウンセラーからの手紙 (2007年9月)
● 第2回 事業本部総会を9月13日(木)に開催 (2007年6月)
● 第2回 住宅問題を考える会 (2007年6月)
● 安心して打ちあけられるカウンセラーがついています (2007年5月)
● カウンセラーからの手紙 (2007年2月)
● かたくら書店・田原 勘意氏 八王子事典800冊を事業本部に寄贈 (2007年3月)
● カウンセラーからの手紙 (2007年2月)
● 事業本部 2006年フォトレポート (2007年1月)
【2006年】
● 事業本部の各事業実績 (2006年12月)
● 事業本部と事業計画 (2006年9月)
● 第1回事業本部総会 (2006年9月)
● 第61回臨時大会 八王子市職員等事業本部の方針について (2006年7月)
● 事業本部の持続的な活動運営体制の強化を (2006年6月)
● 専門家による住宅問題を考える会 (2006年3月)
● 事業本部独自のカウンセリングを4月から実施 (2006年2月)
● 鼎談(ていだん) 生活支援、生きがい、働きがいを考える (2006年1月)
【2005年】
● 事業本部運営規程を改正 (2005年9月)
● 交流・ふれあい・わかちあい 第7回文化祭 (2005年9月)
● 事業本部インフォーメーション (2005年7月)
● 事業本部のプライバシーポリシー (2005年5月)
● 公務員賠償責任保険 ― 本年4月から実施 (2005年2月)
【2004年】
● 事業本部インフォーメーション (2004年10月)
● 公務員賠償責任保険の導入を検討 (2004年4月)
● 事業本部インフォーメーション (2004年3月)
● 事業本部インフォーメーション (2004年1月)
● 公務員賠償責任保険の導入について検討 (2004年1月)
● 事業本部インフォーメーション (2004年1月)
【2003年】
● 生涯にわたる生活設計サポート (2003年11月)
● 第1回職場委員会 事業本部設立を決定 (2003年4月)
● 自治労共済、売店、労金事業から3月を目途にスタート (2003年1月)
● 安定したライフサポート事業の新たな展開を (2003年1月)
● 相互扶助、非営利だからこそ安全で有利な事業が可能 (2003年1月)
【2002年】
● 経営不安の民間生保に代わる (2002年12月)
● 自治労団体生命共済モデルチェンジ(2003年度から)(2002年10月)
● 事業本部体制の確立を (2002年2月)

てい談 八王子の歴史、文化再発見

 今回のてい談は、八王子市が持っている価値を再発見し、市民(団体)、事業者、行政、そして労働組合が一体となって八王子の街づくりに取り組むための「ロードマップ」について考えるという大きなテーマです。
 八王子の活性化についてご尽力されている八王子観光協会会長の大串泰治氏、NPO法人地域生活文化研究所長で八王子いちょう祭祭典委員会の会長でもある大野聖二氏をお迎えし、藤岡委員長(事業本部長)とともに忌憚のないご意見をいただきました。
 なおてい談は1月17日、約2時間にわたり、八王子の歴史、文化、経済、都市計画、高齢化社会、教育問題など多方面に広がりました。本紙では編集委員会の責任で概略をまとめさせていただきました。

 

自治労八王子市職員組合
執行委員長
藤岡 一昭

【藤岡】 本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
 さて現在八王子市は人口56万人、多摩地域最大の自治体に成長しました。しかし、人口規模が増大したからといって単純に街が発展した、活性化しているとは限りません。厳しい自治体財政と同時に少子高齢化の中で、福祉、教育、産業振興、環境、都市計画、交通体系など行政課題は拡大複雑化しています。目の前の課題が山積し、八王子が向かうべき道が分からない、グランドデザインが描けていない状況とも言えます。
 そこで本日は、八王子の文化や歴史、他の都市にはない特色や価値など幅広くご意見を伺いながら、八王子の街づくりを考えていきたいと思います。

(社)八王子観光協会
会長
大串 泰治 氏

【大串】 観光協会の大串です。事業本部といいますか組合の藤岡委員長とのお付き合いは、画集「陣馬街道の今昔」の発行からはじまりまして、私の故郷でもある北海道の美深町で活動している「呼布の会」のファッションショー、それから中村雨紅生誕110年を記念して事業本部が夕やけの里で開催した「山のお寺スタンプラリー」など地域活動にご一緒させていただきました。
 実を言うと、これまで労働組合というと固定観念がありましたが、地域社会の課題に色々と取り組んでいる、それも八王子の街をよくしようという情熱を感じております。

NPO法人地域生活文化研究所 所長  
八王子いちょう祭り祭典委員会 会長
大野 聖二 氏

【大野】 八王子は歴史のある街です。八王子城や滝山城など戦国の時代から近代に至る歴史が刻まれています。こうした歴史を振り返るだけでもたくさんのストーリーがある街です。そこから生まれた文化も素晴らしいものがあります。こうした事象を一つ一つ理解し、継承していくことはとても大事なことですね。事業本部の皆さんがそうしたことを受け止めて活動するということはとても大切なことと思います。
 その上で八王子の街の特性、良い面、悪い面を突き出してこれからの街づくりについて考えていくことが問われていますね。

【大串】 大野さんにはいちょう祭りや八王子七福神めぐりなど、八王子の歴史と現在を結びつけるイベントを発案され、またそれを実践するバイタリティーにいつも感心させられますね。それも前例踏襲と言うか同じことの繰り返しではなく、常に新しい発想で、しかも八王子の歴史を継承した内容になっているところがいいですね。

 街づくりと地域の歴史、文化

【藤岡】 街づくりを考える時、地域と言いますか面的な横の整備と同時に、歴史や文化など時代を築いてきた時間軸、つまり縦のつながりが見える街づくりが求められているように思います。

【大串】 そのとおりだと思います。藤岡委員長が人口56万人の八王子と言う話をされましたが、実は私が八王子に来て約35年になりますが当時の人口は25万人程度でした。ということはおそらく半分以上の八王子市民は他の町から転居してきたと考えられる訳で、なおさら地域の歴史や文化を街づくりの中に活かしていくことが大切ですね。

▲「武蔵陵とその周辺」(売店販売中)

【藤岡】 私も市役所に就職して30年以上経ちますが行政自身も人口増にどう対応するかと言う、直面する行政需要への対応に追われてきた30年だったかもしれません。
 昨年、大野さんが高尾から多摩陵、武蔵陵周辺の歴史散歩用のブックレットを発行されましたが(注、「八王子探訪シリーズ(1)武蔵陵とその周辺」本庁舎売店「はっち」で販売中)、そうした題材に八王子は事欠きません。是非これからの街づくりに活かしたいですね。

【大野】 その意味で八王子城や滝山城など山城の歴史が今見直されてきましたね。天守閣や高い石垣、水掘りといった近世の城ではなく、中世の城には室町から戦国の世に至る乱世の中で人々がどう生き抜いたのかといった様々なドラマがあります。
 また江戸城が開城したころ、近世八王子の原型を築いたと言われている大久保長安は、東西に伸びる甲州街道を、東から高尾を臨めるよう追分で南に振る街づくりをしました。そして高尾山の真裏からは富士山を見ることができます。私は江戸時代の文化を造ったのは大久保長安だと思いますが、八王子にはそうした歴史が刻まれています。
 今、片倉、由井地区の取材をしてまして、次はそのブックレットを発行したいと思っていますが、長井道広が建立した広園寺(山田町)や居城した片倉城址跡も戦国時代を遡る室町の歴史宝庫なんです。

【藤岡】 追分で甲州街道に角度をつけ、高尾山やその先の富士山に向けたと言うのは四百年前のすごい都市計画ですね。今の時代、分権改革が不十分と言うこともありますが50年、100年先の街づくりを考えるといった余裕や作風は、今の市役所内部には乏しいのが現実ですね。むしろ空洞化しているかも知れません。
 改めて街づくりを考えた場合、学校や保育所、医療、福祉、清掃、道路や鉄道、上下水道といた生活インフラにかかわる都市づくりと同時に歴史や文化を意識的に継承した街づくりが必要だと思います。

【この後、八王子を中心に古代から中世、近世にわたる歴史談義が続きました】

▲現在の追分。左・甲州街道
▲東海大学八王子病院


 観光資源としての八王子の歴史と文化
▲道の駅八王子観光案内

【大串】 ところで黒須市長は観光を一つの産業と捉え様々な施策を展開していますが、ミシュランの三ツ星ということで今また脚光を浴びている高尾山や、八王子城が日本の名城百選に選ばれ、「東京を代表する城は江戸城と八王子城」といわれるぐらい、八王子には観光資源があり、私ども観光協会の役割りも大きなものがあると感じています。
 昨年は設立50周年ということで、「観光協会50年のあゆみ」を発行しシンポジウムも開催しました。お陰様で外国人観光客も25%増えたという結果になりました。

【大野】 従来の観光協会は高尾山中心の観光事業でしたが、大串会長が非常に幅広く事業展開を進められ、とくに歴史や文化を観光資源として生かそうとしていることは素晴らしいと思いますね。
 その際、八王子だけの歴史や文化ではなく他の地域との関連性やつながりを理解すること。高尾山のよさは荒井由美の歌にもあるように都心から一時間程の距離にある山並みと森林、動植物など自然環境で、これを守ること。そして駅一極集中ではなく、広い八王子のそれぞれのアクセスを高める交通体系で八王子の中の動きを作り出すことなどが大切だと思います。
 そして最も大切なことは、実践している人を中心にするということです。
 7月の富士森の団子祭り、それからお諏訪様の饅頭祭りなど人の賑わいとなる地域の祭りやコミュニティをみんなで盛り上げるということですね。

▲観光客が集まる高尾山

【藤岡】 なにか八王子の可能性を感じさせてくれる話ですね。大野さんが言うように観光の意味を従来の固定観念から一歩踏み出して、それは同時に八王子の街づくりにとって不可欠なテーマと考えていきたいですね。
 そこで私ども事業本部として取り組んできた街づくりの基本的な考え方として、(1)特定の産業、特定の地域、特定の団体など「一人勝ち」に頼っては持続的な街の発展につながらない。(2)歴史や文化を育み、地域社会を大切にするコミュニティづくりが求められている。(3)健全な経済の発展、活性化は街づくりの原動力。…と考えております。

 

 問われる持続性ある街づくり

【大野】 最初に藤岡委員長がグランドデザインとおっしゃいましたが工場誘致の問題もあります。かつて石川に工業団地が造られまして一流企業が集りました。しかし本社機能は他にあり法人市民税が八王子に入らない結果になりました。本来、工場など会社の設備のあるところに税を回すほうが公平だと思いますね。一方、椚田の工業団地は本社機能を集めた訳ですが、用途地域が準工業地域のため本社が移転したり会社が潰れたあとはマンションになってしまいました。
 街づくりは単純な発想だけではなくやはり市民のニーズをしっかり把握することが大事ですね。

▲北八王子工業団地

【藤岡】 今の大野さんのお話は私の仕事(区画整理)にも直接関わる部分がありまして、実は石川の工業団地は、北八王子地区と高倉地区の区画整理事業で生み出されました。また椚田と言われたのは狭間地区区画整理事業だと思います。
 工業団地用の区画整理事業は、一般住宅とはちがって大きなロットの画地を造成し用途区域も変更することになります。だから長期的な街づくりの視点が必要な大変大きな判断となります。企業が撤退した後は非常に使いづらい土地の形状になりますし、逆に土地利用の制限は緩やかになってしまうため、住宅環境としては後退します。さらに石川、高倉地区はよく肥えた土地で野菜作りには最適な地域でしたが、結果的にそれを潰してしまいました。
 狭間の東側に位置する椚田区画整理事業では、めじろ台から南に位置し、都市計画道路を間に八王子と高尾の間で落ち着いた街並みを想定しましたが結果は全くちがうものとなりました。縄文中期といわれている貴重な椚田遺跡を保存する椚田遺跡公園を造れたことぐらいがよかったかなといった思いです。

【大串】 工業団地の問題だけでなく、私が八王子に来た頃大勢の子ども達がいた小学校が統廃合されたり、以前に造成された住宅地が高齢者中心で人影も少なくなっていたり、といった具合でアンバランスが目立ち始めてきましたね。

▲椚田遺跡公園

【大野】 結局、できた時はいいんですが、その後のことを考えていない。

【藤岡】 そのとおりですね。土地の経済価値を高めたり、宅地を供給するという意味で一定の宅地開発は必要だと思います。しかしそれだけやっていると賞味期限30年の街づくりにしかならない。いわゆる持続性のある街づくりにはつながらないと思いますね。持続性ということを考えると、そのためには歴史や文化が積み上げられていくような都市計画が必要だと思うんですよ。

【大串】 ただ住むという目的だけでない街づくりが必要ですね。だからこそ歴史や文化を積み上げるという視点が必要だと思います。

▲持続的な街づくりが課題

【藤岡】 地域の歴史や文化を大切にする都市計画や区画整理が大事です。それがなくて開発コストを回収するために宅地化をどんどん進めると、必ずそのリバウンドが自治体にきます。当初必要だった公共施設が、利用度が少なくなりランニングコストが負担となる。地域が極端に高齢化したり、人口が減少すれば担税力が弱くなり介護や医療、扶助費の増加にもつながります。地域コミュニティが崩れることも大きな問題です。つまり一時的な、特定の事業だけに頼っては街づくりにつながらないということだと思います。

 八王子駅南口の再開発の可能性

【藤岡】 さて現在、八王子駅南口の再開発事業が進行しています。大野さんは駅一極集中ではダメだ(笑い)というお話をされましたが、この事業も駅前開発といったイメージで語られています。しかし、この事業の持つ効果は、例えば医療刑務所が立川基地跡地に移転する中で、とちの木通りから子安坂上につながる空間をどう活用するのか、子安坂上付近は将来圏央道南バイパスに接続します。さらに、片倉交差点から片倉城址公園、みなみ野のつどいの森公園、それを挟むように湯殿川と兵衛川が流れ、半径1キロ以内の空間に横浜線片倉駅、八王子みなみ野駅、京王高尾線片倉駅といった三つの軌道敷の駅がある。…これらが南口から徒歩圏内にあるという関係性の中で南口の再開発事業を考えていく必要があると思います。

【大野】 その意味で医療刑務所の跡地利用は大切ですね。これまで弱かった八王子の南北文化交流の可能性も出てきますね。

【藤岡】 そうなんです。東西に発達してきた八王子の街づくりに南北のつながりを持たせていく。南口の開発は北口との回遊性を強めることになりますし、現在八王子駅北口も京王八王子駅との連絡性も弱くペデストリアンデッキも中途半端で結局甲州街道への連続性がない結果となっている。ですから、南口の開発が、南北の異文化をつなげ、北口の回遊性にも好影響が出るような、つまり北口の模倣ではない街づくりに期待したいですね。
 そのためには、文化的な施設や歴史を感じる町並みといった他の地域にはない趣のある街づくりが必要だと思うのですが。

 大きな視点で南口開発を

【大串】 固定観念で考えていたのではダメですね。お話のように、全体像というか、大きな視点で南口開発を考えるべきですね。かつて八王子には町田や青梅から買い物に来る人で活気がありましたが、そうした構想を持ちたいですね。

▲南口開発はじまる

【大野】 私は、高尾山周辺に宿泊施設を整備し、高尾を宿泊型の観光地域にすべきだとかねがね考えておりました。その上で、八王子市内各所に魅力あるスポットができればさらに効果的ですね。南口についていえば、やや中途半端というか、ホールにしても2500人は収容したいところです。かつて八王子に第二東京タワー建設の構想がありましたが、そうしたインパクトが欲しいですね。

【藤岡】 その意味で、南口再開発は大きな可能性があると思うんです。南口一体がゆったりとした文化的な街並みであるとするならば、例えば高尾の自然に触れ、八王子駅南口周辺の文化施設を楽しみ、北口に廻っておいしい物を食べるといった具合につながれば、つまり楽しみの選択が広がる訳で、街の活性化につながると思うのですが。

【大串】 そうなんですね。他の地域にはないもの。例えば町田の版画美術館やバトミントンの全国規模の大会を開催した。全国大会が出来る体育施設など特徴が必要です。それと地域の特徴を引き出すということが大切です。例えば甲府の県立美術館ですが、当初あれほど来館者があるとは予測しなかったようです。しかし、ミレーをはじめ作品に魅せられると同時に、付近には温泉があり、ワイナリーや水晶など楽しませてくれる物がリンクしている。こうしたことも大事な要素だと思います。
 つまり単一の突出した特長だけといった富士山型ではなく、いろいろなカテゴリーを持った八ヶ岳型というような、いわゆるシナジー効果が出ることが成功のポイントのように思います。

 開発と環境の調和
▲開発と環境の調和、都市農業の見直し

【藤岡】 さて次に「開発」か「環境」かという問題について考えてみたいと思います。かつてこのテーマは、開発と言う行為と環境と言う理念を平面的に対立させ、二者択一を迫る考え方で展開されてきました。しかしこれはもう意味がないように思います。開発=利益ということにもつながらず、環境=放置では自然そのものも維持できない。その意味で原点に帰り、開発とはどうあるべきか、環境のためにどう努力すべきかを考えてみたいと思います。

【大野】 環境面を考えると、地球規模では大変な危機に瀕していると思います。いわゆる温暖化現象は生活様式から転換しなければならないし、日本の場合は食料自給率も低く、今一度地産地消といった大原則に立ち返る努力が必要ですね。

【藤岡】 その意味で農業、産業的にはその上流に位置する林業などは壊滅状態といっても過言ではありません。山が朽ち果てることで保水力は弱まり、河川の水量は減少しています。事業本部では多摩地域の林業や農業に携っている皆さんといろいろな取り組みをしていますが、住宅様式の変化や高層化が進み、食生活もファーストフード化が進んでいます。国政レベルの問題もありますが、従来型の林業や農業の復活は望めない中で、とくに八王子では都市部における第一次産業としての新たな林業のあり方、農業の見直しが必要だと思います。

▲上柚木からニュータウンを臨む

【大串】 一方で高齢化社会をむかえ、利便性や安全性がより以上に価値を増しています。低層部がショッピングセンターで中高層部が居住空間となっている高層住宅は高齢者にとっては暮らしやすい環境です。ですから開発といっても、問題は内容で、人々の生活にとってどのような価値があるかで判断すべきですね。
 高尾山に大勢のお客さんが来るのは、大都会のすぐ近くに自然があるからで、道路や鉄道のアクセスがあるからです。これも一つの自然のあり方ですね。

【大野】 開発と環境のバランスを崩す最大の要因は東京一極集中ということだと思います。もっと地方に分散すべきですね。八王子の場合、高尾、元八、恩方、川口地区、ニュータウン地区、由井、北野、みなみ野地区など、それぞれ10万人を超える市民が居住している訳で、そのことを考えなくてはなりませんね。各地域にテーマ性のある街づくりが求められています。

【藤岡】 先日大野さんともお話しましたが、それぞれの地区を結ぶ路面電車を走らせるとか、夢のあるそして環境対策にもつながる交通アクセスなども本気で検討したいですね。市役所も日々の仕事に追われてこうした検討をする機会がほとんどありませんが、いずれにしても適切な開発がなければ人間と自然の調和も実現できないということだと思います。


 2007年問題を考える

【藤岡】 2008年に入りましたがいわゆる2007年問題、つまり団塊の世代が定年となる大量退職の時代を迎えています。端的に言うとリタイアした人たちが地域の中に溢れて来るということですが、この人たちはある意味で大事な労働力であり、知恵と経験がある。また、子育ても終り、住宅費、教育費もそれ程かからない、つまりそれほど物入りな世代ではなくむしろ地域社会とどうつながるのかということに生き甲斐や存在感を求めようとする。そうした人びとの桧舞台を創る事が街の活性化につながるように思います。
 しかし今の行政は、高齢者としてひとくくりにしてどちらかと言えば社会の人的資産というよりはリスクとして考えているわけでそこを根本的に変えなければならないと思います。

【大串】 それはまさに大野さんが先鞭をつけられている、プロバスクラブがその典型ですね。

▲農林業と2007年問題は結びつくか?

【大野】 高齢者は社会に何か貢献したいと考えていますね。そういう人たちが積極的に活動できるシステムが欲しいですね。細かいはなしですがそれ程多額ではなくても交通費と食費ぐらいは手当して欲しいように思います。農家も高齢化していますが、その中には農作物の安全な生産を研究したり、食材のレクチャーをしている人たちもいます。

【藤岡】 私は、そうしたことがこれから求められてくる農業や林業ではないかと思います。何町歩も田畑があり、輸入品と競争して生きていく農業は限界があります。輸送コストを余りかけず安全な農作物を近隣市民に提供する、まさに地産地消型農業。また山の自然を教え、森に親しみ、木の持つ力を再認識させる、そうしたことも林業の枠組に組み込む必要があると思うのですが。その意味で2007年問題と農林業の再生はリンクすると思います。

【大串】 さらに食品という給食サービスにも高齢者は進出していますね。

【藤岡】 環境問題にも高齢者の力が必要になってくるのではないかと思います。つまり、地球環境保護やCO2削減ということは石油エネルギーに依存するのではなく、生活面もスローライフというか手間ひまかかることが出てきます。例えば短い時間でいっぱい仕事をするということではなく、同時に環境を維持するために人手をかける、そうしたところに高齢者の力が求められるようになると思いますが。

 こどもの居場所と街づくり

【藤岡】 さて、地域の課題で最も深刻なものがこどもの居場所作り、つまりこどもの居場所が極端に少なくなってきたという問題です。これは施設という意味でも、心のよりどころという意味でもいえると思います。一方でこどもをどう理解するか分からない親たち、学校だけではどうしようもない現実。虐待や親への暴行など、現実は起きるべくして起きた悲劇といえます。

【大野】 地域と学校のつながりという意味では、サタデースクールの話とか聞きますが、どうも先生の反応が今ひとつですね。

【藤岡】 先生はもちろんですが、文部科学省─教育委員会という閉鎖的な体質が根本問題ですね。今八王子では地域に開かれた学校改革をすすめようと取り組んでいます。

【大野】 それから郷土史の学習とかフィールドワークに力を入れて欲しいですね。郷土史そのものの評価も足りないと思います。

【藤岡】 そういうところからこども達が地域を知り、地域がこども達を守るというという関係がつくれればと思います。しかし現実は、待ったなしの状況で、こども支援センターや保育園、児童館、学童保育所、小中学校など総動員してこどもを守る取り組みを強めているわけです。本来こどもが育つということこそが地域や街づくりの原点のように思いますが、現代社会はその正反対の状況にあるということなんです。

【大串】 私たちはこどもたちと直接触れ合う機会はほとんどありませんが、八王子の良さというか、歴史や文化、あるいは遊びをつうじてこどもの居場所づくりから街づくりにつなげたいですね。

【大野】 郷土史のネットワーク作りを事業本部で進めていますがそれも大切なことです。特定の地域に片寄ることなく、八王子あるいは近隣とのつながりを含めてそうしたネットワークを作るということが、実は現代や未来にむけた街づくりにつながると思います。

 

 祭りについて
▲八王子まつり

【藤岡】 最後になりますが「祭り」についてお話をお伺いしたいと思います。いちょう祭りや八王子七福神めぐりなど発案された大野さんや観光協会の大串会長の前で、今さら「祭り」でもないかも知れませんが、56万のそれも新旧住民が入り混じり、面積も広い八王子にとってそれぞれの地域の祭りを大切にすると同時に、八王子まつりやいちょうまつりなどオール八王子のイベントもこれからどうあるべきか、とても重要なことだと思います。

【大野】 私も同感です。三大祭とか押し付けた祭りは意味がないと思います。先ほど話に出た富士森の団子祭りやお諏訪様の祭り、それから生姜祭りとか大事にすべきです。コミュニティの原点ですから。

【藤岡】 事業本部も市役所の本庁舎で10月に文化祭を開催していますが、これは元本郷町の皆さんにとっては地域のお祭りになりつつあります。元本郷六町会が集って、となり近所の顔が見える地域の祭りと言った感じです。

【大野】 その上で八王子まつりやいちょう祭りの盛り上がりも大切です。文化振興財団の皆さんには大変お世話になっていますが、祭りを続けるには色々と苦労がありますね。
 やはり地域にしても八王子まつりや、いちょう祭りにしても組織の力がなければできませんね。自発的にやってくれる人たちを中心に、地域や市民が一緒に楽しめる工夫を続けていくことでしょう。

【大串】 観光協会も色々と関わっておりますが、まずは当事者である地域の皆さんが大勢参加すると言うことが大切だと思いますね。

【藤岡】 本日はお忙しい中、八王子の歴市と文化、街づくり、観光事業、南口再開発、環境問題、こども施策とお祭りの役割りなど多岐にわたるお話をいただき大変ありがとうございました。このような議論ができる場がもっとほしいですね。
(両者「そうですね」)
 公務員はどうしても閉鎖的な仕事環境になりがちですが、その中の労働組合はもっと世間知らずな体質になりがちです。私たちはそうしたものを脱却する意味も含めて事業本部を設立しましたが、今後ともお付き合いの程よろしくお願い致します。本日は長時間大変ありがとうございました。

(社)八王子観光協会について
 社団法人八王子観光協会は平成元年4月1日に設立し、「観光はちおうじ」の実現をはかるため、八王子市の振興を図り、産業経済の発展と文化の振興を目的としています。主な事業は、観光に関する調査研究及び観光情報の収集、イベントの開催。観光資源の保護開発の促進、観光施設の改善及び管理運営、お土産品の宣伝・開発奨励・刊行物の発行など目的達成のための事業を行うとともに、都や市の観光行政への協力をしています。(観光協会概要抜粋)

 

「八王子いちょう祭り祭典委員会」について
 八王子が大きく変貌し、住宅団地の建設などにより新しい市民が増え続け、かつ、産業基盤が大幅に移り変わり、新しい市民意識の変革が求められています。
 そこで、このいちょう並木を守り育ててきた沿道の人々や、新旧の市民、さらに、学生や若い市民たちとの交流を通じて、八王子の街を愛する心をお互いに確かめ合いつつ、育てる機会を作り、併せて自然と心のふれあう地域文化を創造し、地域の発展と社会的な広がりを作ることを目指し、市民の活力を生かして協働のまちづくりを推進するため、有志市民により企画され、多くの市民の参画を得て市民手作りの新しい祭りとして実施運営されています。昭和五四年から昨年28回を向かえ観客動員数32万6000人ありました。(第28回いちょう祭りホームページより抜粋)


*事業本部について*
 自治労八王子市職、臨職組合、公共労は公共サービスに従事する労働者の社会的な地位や勤務労働条件などの改善に取り組むとともに、八王子の街づくりを考え、地域活動も積極的に取り組んでいます。
 具体的には八王子市職員等事業本部(通称=事業本部、組合員、退職者会、理事者も含めた管理職、約5000人の任意団体)を設立し、組合員・会員と家族の福利厚生とともに八王子祭ボランティアや学生委員会活動への支援、地場産業の活性化、10回目となる市役所庁舎を利用した文化祭の開催、カサド国際コンクール、中村雨紅生誕110周年記念事業への企画と参加など取り組み、活動領域は拡大しています。

【私達が考える街づくりの共通認識】
(1)特定の産業、特定の地域、特定の団体など「一人勝ち」に頼っては持続的な街の発展につながらない。
(2)歴史や文化を育み、地域社会を大切にするコミュニティづくりが求められている。
(3)健全な経済の発展、活性化は街づくりの原動力。


〈論 点〉
・持続的な街の発展、街の活性化には地域産業、交通体系、コミュニティ、歴史・文化と自然環境が不可欠。
・八王子の歴史や文化、自然環境は他にない宝であり観光資源。
・多摩地域における八王子市の影響力、八王子ブランドは多摩の自立につながる。
・街づくり、コミュニティづくりには「仕掛け」が必要。その際問われる行政の役割り。
・具体的な課題(ランダムに抽出しました)
  観光資源と同時に豊かな環境資源でもある高尾山周辺の自然
  幹線道路(圏央道、甲州街道、北西部幹線、南バイパス、16号線など)、
         軌道敷(中央線、京王線、横浜線、八高線)と交通体系
  八王子駅南口再開発など駅周辺整備と交通政策
  2007年問題、高齢化社会における活力の創出
  学生の街づくり、学園都市づくり
   子育て環境の整備
  地域・地場産業の活性化
  小中学校を中心とした地域コミュニティづくり
  環境政策、循環型社会(温暖化対策とCO2削減)の構築、他

 

(「ざ・はぴねす」115号/2008.3.17)
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